名曲喫茶「ウィーン」 | 復刻版

復刻版

栄光より挫折、成功より失敗、勝利より敗北…。

以前に、御茶ノ水の名曲喫茶「丘」について、
学生時代の思い出を書いた。
この「丘」は、ガロの歌った名曲、
「学生街の喫茶店」の舞台だという説がある。

でも、私は絶対に違うと思う。
「丘」はクラシック音楽専門で、
ボブ・ディランが鳴ることなど絶対にないからだ。

もし、御茶ノ水の店というなら、
これも今は無い店だが、
喫茶「サン・ロイヤル」の方が近い気がする。

「サン・ロイヤル」はポピュラー音楽が中心だったからだ。
でも、ポールモーリアとか、
レイモン・ルフェーヴルを聴いたことを覚えているが、
ボブ・ディランを流したかは判らない…。

さて、御茶ノ水の駅前から駿河台方面に向かうと、
交差点の左に調剤薬局がある。
そこは昔、「ロイヤル」というパチンコ屋だった。

その手前を神田方面に線路沿いに進むと、
お城の外壁のような建物が確認出来る…。
そこが「サン・ロイヤル」の跡で、
建物はそのままに、今は別の店が入っている。

その手前にあったのが、
もう一軒の名曲喫茶「ウィーン」だ。
細長い建物が上に伸びていたことを覚えている。
「サン・ロイヤル」のビルに「ウィーン」があった…。
そんな記述を目にしたが、それは違う!!
「ウィーン」は隣の建物だった。

私は「丘」に行くことの方が多かったが、
この「ウィーン」にも時々寄った。
こちらも定時に店の決めたプログラムをかけていた。

「ウィーン」には「丘」と違う特徴があって、
わざわざ、プログラムの細長い冊子を製作して、
それを、お客さんに配布していたのである…。

月毎に表紙の色を変えて、
ミロのビーナスのような絵が載っていた気がする。
店の階段の脇に置いてあって、
自由に持って帰ることが出来た。

今思うと、名曲喫茶なのに、
コストをかけて凄いと感じる…。
店主が拘りを持っていたのだろう…。

大分前に無くなってしまったが、
この「ウィーン」も私にとって、
青春の思い出の場所の一つである。

のんびり寛げる名曲喫茶は、
めっきり少なくなってしまったのが寂しい…。
やがて、東京から消えてしまうのだろうか?